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【J-POPコード分析】オーイシマサヨシの「オトモダチフィルム」と星野源の「恋」の共通点

最近、レッスンでオーイシマサヨシの「オトモダチフィルム」のコードのアナライズをする機会があったのですが、いくつか面白い発見があったのでご紹介したいと思います。 オーイシマサヨシはラジオ番組の中で、この楽曲を制作する際に星野源の「恋」を意識して作ったと話しています。 星野源が自身のラジオ番組で彼の楽曲を取り上げた経緯もあり、「オトモダチフィルム」には星野源へのリスペクトソングの意味合いもあるそうです。 その時、具体的に「恋」を意識した点として〈BPMを全く同じにした〉ことについて言及していたのですが、実際にアナライズをしてみると、その他にもはっきりとした共通点や、#遊び心のあるアレンジが施されていることが分かりました。 2つの曲の構造を比較しながら見ていきたいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=CP9mzbSTZPk&ab_channel=KADOKAWAanime
https://www.youtube.com/watch?v=jhOVibLEDhA&ab_channel=%E6%98%9F%E9%87%8E%E6%BA%90

コードの分析と比較

両曲の共通点が最も分かりやすく表れているのが、「オトモダチフィルム」のAメロの冒頭4小節と、「恋」の間奏部分です。 上記の部分のコード進行を分析していきましょう。 それぞれ曲のKeyが違うので、分かりやすく比較するために、どちらもCメジャーのキーへ転調させます。 ・「恋」の間奏部分 1小節目はIでトニックです。 2小節目はbIIIdimでトニックディミニッシュという役割のコードです。 3小節目の前半はⅣM7でサブドミナント、後半はⅢm7でトニック 4小節目の1つ目のコードはⅡm7でサブドミナント、次はbⅡM7でサブドミナントマイナー、最後はⅠに解決しています。 3〜4小節は下行のラインになっており、特にbⅡで裏コードのbⅡ7を使わずサブドミナントマイナーのbⅡM7を使っているのが特徴的で、非常に洗練された響きを持ったコード進行だと思います。 ・「オトモダチフィルム」のAメロ冒頭4小節 1小節目はIでトニックです。 2小節目はbIIIdimでトニックディミニッシュという役割のコードです。 3小節目はⅡm7でサブドミナント、星野源の「恋」のⅣM7を同じ役割のⅡm7で代理しています。「恋」では上行のラインになっていたのが下行のラインになっており、どちらかというと「オトモダチフィルム」の方が例が多い進行だと思います。 4小節目はbⅦ7でサブドミナントマイナーです。「恋」のbⅡM7を同じ機能のコードに置き換えてあります。 3~4小節は星野源の「恋」に比べてシンプルな作りになっており、重要な役割のコードのみを抜き出して置き換えた進行だと考えられます。トニックディミニッシュやサブドミナントマイナーを使うことで生まれる洗練された響きを残しつつ、「恋」に比べてより力強い響きが生まれています。 以上の比較から、オーイシマサヨシ が「恋」の構造を自分の曲の一部として、うまく引用していることが分かります。 また、「オトモダチフィルム」のPVのAメロ部分。オーイシマサヨシが「恋」とそっくりの衣装を着て、明らかに恋ダンスの振り付けを意識して踊っている様子からは、この曲がリスペクトソングであることを宣言しているような印象さえ受けます。

リズムの比較

「オトモダチフィルム」はコード進行だけではなく、リズムもはっきりと「恋」を意識した作りになっていますが、オーイシマサヨシはここでもリズムをそのまま参照するのではなく、絶妙なアレンジを施しています。 「恋」では小節アタマで短くコードを鳴らすリズムが基本となっていますが、「オトモダチフィルム」では一つ目のコード以外は前の小節の裏に食って入ることで、よりシャープな印象になっています。1〜3小節目で表拍のエリアを裏にしたように、裏拍が印象的な4小節目は「オトモダチフィルム」では2拍目からは表拍を強調したリズムになっており、両曲のリズムは細部の形を反転させたような、対照的なものとなっています。

まとめ

すでに多くの曲で使用されている慣用句としてのコード進行を取り入れて作曲することはごく一般的なことです。 そのような手法で作られた曲は多くありますが、「オトモダチフィルム」はコードやリズムに対する小技の効いた細やかなアプローチなど、非常に高い完成度を持ちながら、遊び心にあふれた作品だと思います。 以上のポイントを意識しながら聴き比べてみると、色々な発見があって面白いと思います。

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